2025年2月3日、仏映画監督クリストフ・ルッジア(Christophe Ruggia)が未成年者に対する性的暴行で有罪判決を宣告された。刑期は2年の実刑(電子ブラスレットによる監視)と2年の執行猶予。未成年の時に性被害を受け、ルッジア監督を告発してきた女優のアデル・エネル(Adèle Haenel)が勝訴する形となった。
ことの発端は、2019年。仏女優アデル・エネルが仏メディアMediapartで、12歳から14歳まで(2001-2004年)映画監督クリストフ・ルッジアから毎週土曜日に監督の自宅で習慣的に性的暴行を受けていたと告白。

性犯罪が始まったのは、2人が出会った映画Les Diablesの撮影が終わった2001年。アデル・エネル本人によれば、ルッジア監督は当時12歳のアデル・エネルを毎週自宅に招き、おやつを与え、なんでもない風を装ってソファに座った彼女にくっつき、Tシャツや下着の中に手を入れてきたといいます。
このような性的暴行から逃れることができなかった理由として、アデル・エネルは、12歳の少女にとって映画監督が権威と尊敬を集める存在であり、ルッジア監督によって役者としての自分が「作り出され」、ルッジア監督なしでは自分が消えていってしまいそうに思えたからであると語っています。ジュディット・ゴドレーシュの場合も同じような理由であったことが想起されます。
フランス映画界をゆるがしたこの衝撃の告白から今日に至るまでのアデル・エネルの主な動向は以下の通りです。
2019年末にクリストフ・ルッジア監督に対して告訴を決意。
2020年のセザール賞授賞式では、児童性的虐待で有罪判決を受けたロマン・ポランスキーに最優秀監督賞が授与されたことに激怒し「恥を知れ!」と叫んで途中退場。
2022年には、かわろうとしない保守的な映画界に嫌気がさして映画女優としての引退を表明。
このように、アデル・エネルはフランスのMetoo運動を牽引する存在であり、クリストフ・ルッジアの裁判がどのような結果になるかに多くの注目を集めていました。
裁判は2024年12月9日と10日に行われ、検察側がルッジア監督に対して懲役5年を求刑。2025年2月3日、ルッジア監督に対して実刑2年の有罪判決が宣告されました。

これにより、ルッジア監督は2年間電子ブレスレットで監視され、5年間未成年者と仕事をすることを禁じられます。また、原告のアデル・エネルに対して賠償金15000ユーロと心理療法費20000ユーロの補償の支払いも命じられました。
しかし、クリストフ・ルッジア監督は依然として容疑を否認しており、控訴をする意向をしめしています。
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