ボンジュール!
さて、今回はフランス体験記の第5回目。フランスで体調を崩して、救急車に乗ったり、入院したり、手術をしたりした話をしたいと思います。
病気の医学的な詳細についてはこの記事で詳しく触れませんが、僕はフランスで膵臓に問題が見つかって、フランス医療にかなりお世話になりました。
この記事では、どういう経緯で膵臓の問題が見つかり、どんなふうにフランス医療のお世話になったのかをざっくりとシェアしたいと思います。「ざっくり」というのは、お腹の調子が悪くなったのが2020年ごろのことなので、あまり鮮明には覚えていないこともあるからです。
あまりポジティブな話題ではありませんが、何かのお役に立てれば幸いです。
I. 救急車で搬送されて入院するまでの経緯
1. 謎の腹痛で病院をはしご
ある時からお腹の調子が悪くなって、病院に何度も行きました。当時はかかりつけ医(médecin traitant)がいなかったので、ある医療センターでその日空いている先生に診てもらっていました。
しかし腹痛の原因ははっきりせず、処方された薬で様子を見ていました。腹痛は痛くなったり治ったりの繰り返しであまり改善はしなかったです。
このままでは埒があかないと思い、一般医ではなく、専門医に見てもらうことにしました。しかしパリで専門医の予約を取るのはかなり大変です。僕は1ヶ月近く待たされました。
そこで経緯を話し診てもらったのですが、結論から言うと、あまり効果はありませんでした。とても高額の治療費を取られただけではなく、これまたとても高額の薬(保険が効かないやつ)を買わされました。
僕は当時、国民健康保険(sécurité sociale)だけで相互保険(mutuelle)には入っていなかったのですが、今回の出費と病状が良くならないことを考慮して、mutuelleにも入ることを決断。
2. とつぜんの腹痛で救急車を呼ぶ
と、お腹の調子が悪い状態が何ヶ月か続いたある日、とつぜんお腹がひどく痛み出して、がまんができなくなりました。
おさまる気配がないので妻に救急車を呼んでもらい、病院に搬送されることに・・・
フランスの救急車に乗るのはこれが初めてだったのですが、お腹がすごく痛かったのでどんな乗り心地だったのかあまり覚えていません。妻が同乗して、運転手の腕に漢字のタトゥーが入っていたことは覚えています。
近くの病院の救急外来で少し待たされて診察を受け、鎮痛剤を打たれて、血液検査の結果を待つことに。
3. 膵炎と診断され入院
そこで数時間くらい待って、膵炎だから入院だと言われました。
これが夜中のことで、妻は待合室でずっと待っていました。妻がタクシーで家に帰ったのが、午前4時ごろ。
ただ、その病院には病室が空いてなかったので、受け入れ病院が見つかるまで僕は救急外来の廊下で待ちました。眠りたかったのですが、救急外来がうるさくて、それどころじゃなかったです。注射を嫌う女性が「やめて!やめて!助けて!」みたいなことをずっとさけんでいたり、ある別の患者が寝ている僕のところにやってきて、「どうしたの、また?へえ、私はね、、、」と自分の話をしたりし始めて、「寝かせてくれー」という感じでしたw。
結局、翌朝に救急車で近くの別の病院に搬送され、そこで入院ということになりました。
フランスの病院で入院するのはこれが初めてだったのですが、与えられたのは個室で、看護師さんたちも親切で、とてもいい病院でした。

そこで点滴を打たれ、しばらく絶食ということになったのですが、何よりもきつかったのは、水が飲めないこと。食べ物が食べられないのは我慢できるのですが、喉の渇きがこれほどきついとは知りませんでした。点滴をしているにも関わらず、口が乾いて乾いてしかたがなかったです。
CT検査(scanner)の結果、手術の必要はないということで、一週間入院して退院しました。
不幸中の幸いは、しばらく前に加入した相互保険(mutuelle)。保険に入っておいたおかげで入院費を1000ユーロほど得をしたことが後になってわかりました。
II. 膵炎の原因の特定のために精密検査を重ねる
1. 精密検査と通院
手術せずに退院したものの膵炎の原因がまだはっきりわからないので、退院後にも胃カメラ、大腸カメラ、内視鏡検査、血液検査、CT、MRIなどいろいろな検査を行いました。
しかし、結局、これというはっきりした原因は特定されませんでした。
一方で、お腹の調子はときどき悪化し、何度か病院に行ったり、救急外来に行ったりしました。入院するほどのことにはならなかったですが、検査の結果はやはり膵炎の再発でした。
2. 専門病院に移され、精密検査
ということで、病院の先生の提案で、より専門的な病院でより精密な検査をすることになりました。
そこで検査して、ある種の結論が出たのですが(わりにめずらしい原因)、とりあえず、薬で様子を見て、もし薬を飲んでも膵炎が頻発するようなら手術をしようという話になりました。
3. 薬で様子を見るが、膵炎の発作は残る
薬を飲むとたしかに膵炎の発作は減ったのですが、月に一度くらいはまだ発作があり、かなりの激痛なので1年ほど経った頃に、やはり手術をしようということになりました。
で、手術をするにあたって、ふたたびMRI検査を行いました。すると、これは手術の後に聞いた話なのですが、膵炎の原因についての先生の当初の見立てが少し間違っていたようです。どっちみち似たような手術なんですが。
III. 手術、入院、経過観察
1. 手術と入院
手術の前日に病院入りし、そわそわしながら翌日を待ちました。
手術当日には、やはりかなり緊張しましたが、手術室に運ばれると全身麻酔ですぐに意識が飛び、気がついたら手術は終わっていました。
手術後の一週間ほどは、腹痛と発熱でかなりしんどかったです。三週間ほどで退院ということでしたが、ぼくは二週間ちょっとで退院することができました。
入院中は義理のお父さんがテレビ代を払ってくれたおかげで、フランスのテレビ番組が見放題でした。しかし、疲れた体にはやはり日本のテレビが恋しかった、、、

やることがないからテレビのニュース番組を垂れ流しにして、たまに元気が出た時に小説を読んだり音楽を聴いたりしていました。

手術後しばらくは何も食べられませんでしたが、一週間ほどすると、このようなまともな食事ができるようになりました。結構ボリューミーだったので、全部食べられないほど。
2. 退院と静養
その後、二週間ほどして、退院しましたが、体はふらふらで力が入らず、お腹に針みたいなものがまだ刺さった状態なので歩くのも苦しかったです。
しばらくは痛み止めの薬を飲み、1日一回、対運動不足用の注射を看護師の人に自宅で打ってもらい、お腹が回復していくのを辛抱強く待ちました。
退院から1、2週間ほどして、病院でお腹に残った鍼みたいなものを取り除いてもらい、ようやく生きた心地が戻ってきましたw。
トータルで約1ヶ月ほどかけて体調を戻していき、仕事にも復帰できるようになりました。
3. 通院と経過観察
その後は通院と経過観察。
何度か病院で先生に会い、CTやMRIをしたり、血液検査をしたりを繰り返し、一年程経った頃にようやく、「経過は順調だから今度来るのは一年後でいいよ」と言われました。
本当に長かったです涙。
でも、とりあえず体調が元に戻って何よりでした。
今の僕の人生のモットーは、「健康第一」です。当たり前のようですが、今回の経験を通して健康の大切さを再認識しました。
そして、好きなものが食べられる幸せといったらありませんw
以上、かんたんですが、フランス医療にお世話になった話でした。
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