ボンジュール!
さて今回は、主にNetflixで観られるフランスのドラマ・個人的ベスト7を紹介したいと思います。
「フランス映画なら少しは知っているけど、フランスのドラマってどうなの?」と思っているそこのあなた、安心してください。フランスのドラマもかなり面白いです。
今回はそんなフランスのドラマの中から、僕が近年観てハマったドラマを7つ紹介します。王道ドラマからやや癖のあるドラマまで、いろいろ揃っています。
本記事では、紹介の都合上ランキング形式にしました。でも、どれも作りはいいのでランキングが低くてもかなり楽しめます。ご安心を。
それでは、本題に移りましょう。
仏語教師がおすすめするフランスのドラマ7選(Netflix中心)
1. エージェント物語 / Dix Pour Cent

はい、ボクのイチオシはこれ。2015年から2020年にかけて放送され、フランスで大ヒットしたドラマです。パリの架空の芸能事務所ASKが舞台で、主要人物は4人のエージェントとそのアシスタントたち。ただ、各エピソードに、ASKに所属しているという体でフランスの映画スターがひとり実名で登場します。イザベル・アジャーニ、ジュリエット・ビノシュ、イザベル・ユペール、ジャン・デュジャルダン、ジャン・レノなどなど、錚々たるメンツが、しばしば自虐的に、自らを演じてくれます。
知っている俳優や女優が出てくると嬉しいですし、知らない役者が出てきても、本人役で出てくるので、フランスの芸能界でその人がどのような立ち位置の人なのかがよくわかります。また、コミカルな人間ドラマに仕上がっているため、映画ファンだけではなく誰が見ても楽しめる作品になっています。
シーズン4まで、全24話ありますが、脚本、演技、編集どれをとっても見事な出来映えで、何度見ても見飽きません。ボクはこのドラマを少なくとも4、5回は観ました。それほどよくできています。
邦題は『エージェント物語』。フランス語原題 « Dix Pour Cent »は「10%」という意味で、所属タレントの稼ぎから芸能事務所がとる取り分を指します。
何を観ようか迷っている場合は、とりあえずこれを観ましょう。
2. Lupin/ルパン / Lupin

2023年秋にシーズン3が封切られて話題のドラマです。モーリス・ルブランの小説でおなじみの怪盗アルセーヌ・ルパンを敬愛する黒人の泥棒アサン・ディオップが主人公(主演は『最強のふたり』のオマール・シー)。見どころはなんといってもアサンの盗みと変装のテクニック。その大胆にして華麗なテクニックは警察だけではなく視聴者の我々も欺きます。
また、黒人の泥棒が現代のルパンとして蘇る点も、ひねりが利いていて面白いです。アサンが黒人ということもあり、人種差別などの社会的な問題が絡んでくる一方、思わず頬がゆるむような、白人と黒人の心温まる友好関係も描かれます。全体としては、黒人の泥棒が白人の警察を手玉に取るという構図になっているため、ある種の爽快感が得られます(笑)。
非英語圏のNetflixオリジナルドラマで最も成功したドラマと言われているだけあって、見応え十分です。第一話はルーブル美術館が舞台の大掛かりな窃盗ショー。ボクは軽い気持ちで見始めましたが、第一話ですぐにハマってしまいました。
騙されたと思って、とりあえず第一話を観てみてください。
3. その日がやって来る / En place

ジャン=パスカル・ザディ主演の映画『俺はマンデラになる(Tout simplement noir)』が面白かったので、同じくザディさん主演のこのドラマ『その日がやって来る(En place)』を見ました。
『その日がやって来る』で、主人公ステファン・ブレはひょんなことからフランス大統領選に出馬することになり、フランス史上初の黒人大統領を目指します。
『俺はマンデラになる』も『その日がやって来る』も、いずれも黒人差別をテーマにしたコメディなんですが、ザディさんの間の抜けた演技が最高に可笑しいです。エリック・ジュドーとのコンビがまたたまりません。
現在シーズン2まで出ています。シーズン3が楽しみ。
4. ファミリー・ビジネス マリファナ・カフェへようこそ / Family Business

ジョナタン・コエン主演のコメディ・ドラマ。一家で肉屋を営んでいたユダヤ人の家族が、ひょんなことからマリファナ栽培にビジネスを切り替えます。上品なドラマとは言えませんが、かなり笑えます。
シーズン3まで出ていますが、特にシーズン1とシーズン2がオススメ。シーズン3はちょっと行き過ぎていて、興醒めすることがありました。
「とにかく面白くて笑えるドラマを」という方には、このドラマがオススメ。
5. なんたるフィアスコ?! / Fiasco

お次もはちゃめちゃコメディドラマ。2024年4月公開のNetflixドラマ『なんたるフィアスコ?!』(原題のFiascoは「大失敗」という意味)です。
本作は『Casting(s)』『FIVE』のイゴール・ゴーツマン監督、ピエール・ニネ、フランソワ・シヴィルが再結集し、悪夢と化す映画撮影現場をドキュメンタリータッチで描いたコメディドラマです。各話40分程度で全7話。
本作はコメディドラマとしてかなり楽しめます。100発100中とまではいかなくても、60~70発くらいはしっかり笑わせてきます。とくに、ピエール・ニネ演じるポンコツ映画監督ラファエルの善意から発する不必要なアグレッシブさがたまらなくおかしいです。傑作とは言えないかもしれませんが、1日の終わりにリラックスして観るにはうってつけのドラマです。
6. スタンディング・アップ!/ Drôle

お次は、Netflixのフレンチドラマ 『スタンディング・アップ!』(Drôle)。フランスにおけるスタンドアップ・コメディを題材にしたドラマです。
主要人物は出自の異なる四人の若者。アイサトゥ(黒人系)、ネジル(アラブ系)、ブリング(アジア系)、そしてアポリーヌ(白人ブルジョワジー)。みんな、スタンドアップで成功することを夢見ています。
Drôleというのはフランス語で「滑稽な、面白い」という意味で、ドラマの中のスタンドアップ・ショーのお店の名前にもなっています。
脚本は『エージェント物語』のファニー・エレロ。大変よくできたドラマだったのですが、シーズン1で打ち切りになりました。残念で仕方ありません。
7. シークレットサービス マル秘ミッション / Au service de la France

このドラマは現在、Netflixでは見られませんがが、Arteで無料で見られます。
1960年代前半、冷戦時代のフランスが舞台のスパイコメディです。
変人ばかりのシークレットサービスに採用された主人公アンドレが本物の諜報員に成長していく過程を描いています。
スパイのカッコ良い側面も出てきますが、基本的にパロディなので最終的にはスパイの愚かしい側面がフィーチャーされます。
特に当時の官僚主義や白人至上主義の風刺はかなり笑えます。
8. おまけ グランメゾン東京
最後におまけとして僕が大好きなフランス関係の日本ドラマを一つ紹介します。

はい、木村拓哉主演のドラマ『グランメゾン東京』です。日本で三ツ星のフレンチレンストランを目指すシェフたちの話。
ドラマはフランス・パリで幕を開けます。第一話の半分くらいまでパリが舞台で、それから日本に移ります。僕はパリが舞台の冒頭部分はあまり面白いと感じなかったのですが、舞台が日本に移ってからは完全に虜になってしまいました。
脚本、キャスティング、料理シーン、全て満点です。あまりに面白いので僕はこのドラマを3回見ました。
キムタクをはじめ日本人シェフの話すフランス語はたまに「ん(笑)?」となるところがありますが、そういう部分も含めて魅力的なドラマです。
まとめ
以上、王道のフレンチドラマからやや癖のあるおすすめフレンチドラマまで7つ(とフランス関係の日本のドラマ1つ)を紹介しました。「これ面白そうだな」というものがあれば、ぜひ見てみてください。
それではまた。
À bientôt !
コメント