ボンジュール!
今回は「フランス語で本を読もう」の第6回目。
「フランス語で本を読もう」シリーズでは、ぼくが読んだ、あるいはこれから読む予定のフランス語の本をみなさんに紹介します。
ここでフランス語の本というのは、原書であれ翻訳であれ、フランス語で書かれた本のこと。ですので、カミュの『異邦人』も紫式部の『源氏物語』のフランス語訳もフランス語の本にカウントします。
ちなみに、このシリーズでは基本的にフランス語の本にまつわる個人的な意見や感想をしゃべるだけです。解題やレクチャーみたいなことはしません(できません)。
駄弁が功を奏して、読者のみなさんとフランス語書籍とのささやかな出会いの場になれば幸いです。
それでは、本題。
さて今回僕が読んだ作品は、コートジボワールの作家アマドゥ・クルマ(Ahmadou Kourouma)のAllah n’est pas obligé (2000年刊)です。

邦訳も出ています→『アラーの神にもいわれはない:ある西アフリカ少年兵の物語』(アマドゥ・クルマ著、真島 一郎訳)
実は、この小説は数年前のクリスマスに身内にもらったプレゼントで、いつか読もう読もうとおもっていたものでした。
僕自身はアマドゥ・クルマという作家のこともこの小説のこともしりませんでした。概して、アフリカのフランス語文学にはあまり詳しくなく、ソルボンヌ大学の学士課程のときに少し学んだことがあるに過ぎません。その時のことで印象に残っているのは、Aimé Césaireの詩集Ferrementsが難しすぎてちんぷんかんぷんだったことと(笑)、In Koli Jean Bofaneの小説Congo Inc. Le Testament de Bismarckが意外に面白くて、コンゴ民主共和国に興味をもったことくらいです。
今回読んだアマドゥ・クルマはコートジボワールの作家で、小説Allah n’est pas obligéはリベリア・シエラレオネ内戦を題材にしています。
西アフリカのあの辺りの地理はみなさんご存知ですか?僕は恥ずかしながら不案内で、ネットで地図を見ながら作品を読んでいました。

ご覧のように、コートジボワール、リベリア、シエラレオネ、ギニアはお互いに隣近所の関係にあります。
物語の語り手は10歳から12歳の男の子(彼は自分の正確な年齢も知りません)で、コートジボワールで母を亡くし、叔母を尋ねてリベリアに向かうのですが、道中で内戦の渦にのみ込まれ、生きていくためにさまざまな武装組織の少年兵となり、麻薬、殺人、レイプといった戦争の悲惨さを目の当たりにします。
ただ、物語が浮かび上がらせる戦争の現実は地獄そのものなのですが、それをさも当たり前のように語る子供の語りには独特のスピード感と可笑しみがあり、戦争の悲惨さと語りの軽さのギャップがこの作品の特徴をなしていると言えそうです。
この小説のフランス語は、英語や土地の言葉が混じっているので(実際、語り手の少年は4つの辞書を使いながら物語を語っています)、フランス語の本に慣れていない人にはとっつきにくいと思います。
どんな話か気になる人は、邦訳『アラーの神にもいわれはない:ある西アフリカ少年兵の物語』(真島 一郎訳)を読んでみてはいかがでしょうか。
以上、かんたんですが、Allah n’est pas obligéを読んだ感想でした。
それでは、また。
À bientôt !
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